本、CDやレコード、DVDなど、当時の自分が必死になって何かを会得しようともがいていた痕跡を見る事がある。
見返すと今では小恥ずかしかったり懐かしかったりするが、その当時の自分には重要な内容で、きっと今の自分の一部を形成しているものであるはずだ。
これらを断捨離してしまっていいのだろうか。
もし捨ててしまって、その作品の存在を忘れてしまったら、自分の血となり肉となった部分の参照元がわからなくなるということだ。もっと言うと自分の中からその要素が消えてしまっても消えてしまった事にすら気づけなくなるという事だ。
考えてみると、自分の自意識というか自己イメージは過去の自分の軌跡を元に形成されているが、これらはすべて記憶がベースになっている。
どんな家庭で育ち、どんな学校へ通い、どんな友達と過ごし、自分が体験した物事でどんな事が楽しかったか、得意だったか、どんなところでつまづいてころんで痛かったか、すべて記憶がベースになっている。
本で出会った知見やDVDで学ぼうとした技術などは、言い換えれば、学校に通った、習い事をした、師匠に弟子入りした、独学で学んだ、研究した、発表した、などの自分の行動経験で使用した資料の名称に過ぎない。
ただ、人生観そのものに影響された機会というものはまれだが確かに存在する。
それは小学校の音楽の授業での1曲だったり、中学校の歴史の先生の考え方だったり、
バイト先の先輩の人間性だったり、会社の上司だったり、偶然読んだビジネス本だったり、スポーツクラブのインストラクターだったり・・・。
だから本を捨てるとき、それがただのテキストや娯楽の1つに過ぎなかったのか、それとも人生観に影響を与えた本だったのかによって重みが違ってくる。
影響力が大きかった本は記念に置いておくべきで、捨てるべきではない。
また、テキストにしかすぎない本だとしても、それを読んでいた自分の軌跡を自分の中で自分史の1ページに認識・記憶できていなかったのであれば、捨てる前に自分の軌跡そのものを何かの形で記録しておくべきだろう。
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